【異形団】大嫌いで大好きな貴方※鯛サザ

最近、アイツをよく見る。寒気がするほど嫌な人だが、姿や声もあの人だ。アイツはあの人の形をした奴だと考えてもあの人を思い出してしまう。もやもやしながら、くわちゃんと手を繋いで遊んでいたら
「ん~、さざんかどうしたの?さいきん、へんだよ?」
「変かナ...ボクはいつも通りだけどなァ...」
「へん、だよ!!ブリさんがいなくなってからげんきがないきが...するっ!」
そうなのかもしれないなぁ~と思いながらくわちゃんの頭を撫でる。くわちゃんの頭は撫でやすい。くわちゃんは撫でてるとき目を伏せて穏やかな顔をする。その顔は少女とかけ離れている...と言ったら変だが大人びているような感じだ。暗くなり始めたのでくわちゃんに「帰ろうか」と言うと眩しい笑顔をこちらに向けて「うんっ!」と言った。手を繋ぎ直し館へ向かった。


「なんや、まだお前なんか」
少年はそう言って、近くにあるソファーに座った。少年の視線の先には男が微笑みながら部屋の隅に立っている。男は顔を変えずに言葉を返す。
「ははは、暫くはこのまま『居させて』頂こうかと思っています」
少年はなんでもええんやけどな、と言ってポケットから飴を取りだし音を立てながら噛み始めた。少年が手招きすると男は少年の方に歩きだした。少年の当たっている電灯の光を遮る所で男は立ち止まり言った。
「何用でしょうか、黒椏様」
男は言い終えると膝を地に付け目線を合わせた。少年はまたポケットから飴を取りだし男に差し出した。赤色に包装された飴、男はよく分からずとりあえず受け取った。
「黒椏様...?私には主旨が理解できませんが...」
少年は、めんどくさそうに
「あー、そうやったな。まぁ、『それ食え』」
と言った。男は命じられた通りに赤色の包装を取り、飴を口に入れた。口に入れた飴は恐らく甘味が広がって要るのだろう。そして、この味は「レモン味」だ。味覚がなくても口に入れたらおおよそは分かる。
「どうや、旨いやろ?塑羅と町に行った時に買ってきてな。お前にもやろうと思って忘れてたわ」
少年が笑いながら飴を噛んでいる。噛み終えては、また取り出して口に入れているが...そのポケットにはどれだけの飴が入っているのかが少し気になってしまった。
「私のような者にありがとうございます、黒椏様」
頭を少し下げ、礼の言葉を言った。
「お、おう。そんなたいそうなもん(物)でも無いけどな」
部屋にある大時計が音をたてた。ふと見ると長身は上を指していた。少年がゆっくりと立ち上がろうとしたので男は手を差しのべた。不必要な事をしたと思ったが少年は手を取り立ち上がった。少年がドアに向かっていくのを眺めていようとしたら
「あ、ブリタルも来(き)いや。夕食、食べるやろ?」
少年が振り返り、言った。自分(ブリタル)はつくづく恵まれた場に要るのだと感じた。
「了解しました。黒椏様」
少年が部屋から出たのを確認すると電灯のスイッチを押し、消した。


「さざんかっ!おきてよ!!」
くわちゃんの声で目が覚める。顔をぐしゃぐしゃにしてくわちゃんがこちらを見ていた。あれ、何で僕は寝ていたんだっけ。何だったかな。ぼんやりと考えてると足に激痛を感じた。起き上がって、見ると所々に赤い血が流れていた。そうだ、思い出した。くわちゃんと帰っていたら異形の過激組織に襲われたんだ。僕らは森に逃げこんで敵を撒いたんだった。とりあえず、目の前にいるくわちゃんを抱き締めて落ち着かせよう。くわちゃんを抱き締めると、くわちゃんは僕の背中に手を回して声を我慢して泣いた。
「ゴメンネ、怖かったよネ」
くわちゃんは弱々しくも首を横に振って言った。
「さざんか...っが...いなくなっだ...とおもったもん...」
回した手が強くなったのが分かった。あの時、能力を使っても良かったが、敵が多すぎた。それにくわちゃんが居た。見上げると月の光が木々の葉から漏れていた。くわちゃんを泣き止まそうと声をかけた
「くわちゃん、もう大丈夫だヨ。もう少しで帰れるから」
が、くわちゃんは腕の中で眠っていた。泣き疲れたのだろう。少し足を動かそうとしたら血がまた少し流れたので大人しく安静することにした。


少年が冷蔵庫を覗いてる後ろで男は待っていた。少年が「うーん」と唸りながら冷蔵庫と睨み合っていた。男は近くにあった「簡単、料理」と書かれた本を手に取り軽く頁を捲った。カロリーや手順、用意するものが書かれてあった。他にも何か書かれていたが興味が無かったので本を閉じ、元にあった場所に置いた。少年の方に目を向けると何とも言い難い顔で虚空を見ていた。
「いつもやったらティフルがいるんやけど...今日はデートとか言ってたしなぁぁ...あかん、何を作れば良いか悩む...」
何やら悩んでいるようだが己には関係ないだろうとその光景を眺めていた。すると扉が荒々しく音を立て、開いた。音の主は男を見るなり手招きした。男は少年を少し見たが、少年は瞑想中だったので音を立てずに部屋を後にした。音の主はピンクのスマホを片手にこちらをじっと凝視している。青い髪が綺麗な方だ。しかし何かを疑われてるような感じだが思い当たる節が何もない。
「侏倭様、何用でございましょうか」

【異形団】大嫌いで大好きな貴方※鯛サザ

最近、アイツをよく見る。寒気がするほど嫌な人だが、姿や声もあの人だ。アイツはあの人の形をした奴だと考えてもあの人を思い出してしまう。もやもやしながら、くわちゃんと手を繋いで遊んでいたら
「ん~、さざんかどうしたの?さいきん、へんだよ?」
「変かナ...ボクはいつも通りだけどなァ...」
「へん、だよ!!ブリさんがいなくなってからげんきがないきが...するっ!」
そうなのかもしれないなぁ~と思いながらくわちゃんの頭を撫でる。くわちゃんの頭は撫でやすい。くわちゃんは撫でてるとき目を伏せて穏やかな顔をする。その顔は少女とかけ離れている...と言ったら変だが大人びているような感じだ。暗くなり始めたのでくわちゃんに「帰ろうか」と言うと眩しい笑顔をこちらに向けて「うんっ!」と言った。手を繋ぎ直し館へ向かった。


「なんや、まだお前なんか」
少年はそう言って、近くにあるソファーに座った。少年の視線の先には男が微笑みながら部屋の隅に立っている。男は顔を変えずに言葉を返す。
「ははは、暫くはこのまま『居させて』頂こうかと思っています」
少年はなんでもええんやけどな、と言ってポケットから飴を取りだし音を立てながら噛み始めた。少年が手招きすると男は少年の方に歩きだした。少年の当たっている電灯の光を遮る所で男は立ち止まり言った。
「何用でしょうか、黒椏様」
男は言い終えると膝を地に付け目線を合わせた。少年はまたポケットから飴を取りだし男に差し出した。赤色に包装された飴、男はよく分からずとりあえず受け取った。
「黒椏様...?私には主旨が理解できませんが...」
少年は、めんどくさそうに
「あー、そうやったな。まぁ、『それ食え』」
と言った。男は命じられた通りに赤色の包装を取り、飴を口に入れた。口に入れた飴は恐らく甘味が広がって要るのだろう。そして、この味は「レモン味」だ。味覚がなくても口に入れたらおおよそは分かる。
「どうや、旨いやろ?塑羅と町に行った時に買ってきてな。お前にもやろうと思って忘れてたわ」
少年が笑いながら飴を噛んでいる。噛み終えては、また取り出して口に入れているが...そのポケットにはどれだけの飴が入っているのかが少し気になってしまった。
「私のような者にありがとうございます、黒椏様」
頭を少し下げ、礼の言葉を言った。
「お、おう。そんなたいそうなもん(物)でも無いけどな」
部屋にある大時計が音をたてた。ふと見ると長身は上を指していた。少年がゆっくりと立ち上がろうとしたので男は手を差しのべた。不必要な事をしたと思ったが少年は手を取り立ち上がった。少年がドアに向かっていくのを眺めていようとしたら
「あ、ブリタルも来(き)いや。夕食、食べるやろ?」
少年が振り返り、言った。自分(ブリタル)はつくづく恵まれた場に要るのだと感じた。
「了解しました。黒椏様」
少年が部屋から出たのを確認すると電灯のスイッチを押し、消した。


「さざんかっ!おきてよ!!」
くわちゃんの声で目が覚める。顔をぐしゃぐしゃにしてくわちゃんがこちらを見ていた。あれ、何で僕は寝ていたんだっけ。何だったかな。ぼんやりと考えてると足に激痛を感じた。起き上がって、見ると所々に赤い血が流れていた。そうだ、思い出した。くわちゃんと帰っていたら異形の過激組織に襲われたんだ。僕らは森に逃げこんで敵を撒いたんだった。とりあえず、目の前にいるくわちゃんを抱き締めて落ち着かせよう。くわちゃんを抱き締めると、くわちゃんは僕の背中に手を回して声を我慢して泣いた。
「ゴメンネ、怖かったよネ」
くわちゃんは弱々しくも首を横に振って言った。
「さざんか...っが...いなくなっだ...とおもったもん...」
回した手が強くなったのが分かった。あの時、能力を使っても良かったが、敵が多すぎた。それにくわちゃんが居た。見上げると月の光が木々の葉から漏れていた。くわちゃんを泣き止まそうと声をかけた
「くわちゃん、もう大丈夫だヨ。もう少しで帰れるから」
が、くわちゃんは腕の中で眠っていた。泣き疲れたのだろう。少し足を動かそうとしたら血がまた少し流れたので大人しく安静することにした。


少年が冷蔵庫を覗いてる後ろで男は待っていた。少年が「うーん」と唸りながら冷蔵庫と睨み合っていた。男は近くにあった「簡単、料理」と書かれた本を手に取り軽く頁を捲った。カロリーや手順、用意するものが書かれてあった。他にも何か書かれていたが興味が無かったので本を閉じ、元にあった場所に置いた。少年の方に目を向けると何とも言い難い顔で虚空を見ていた。
「いつもやったらティフルがいるんやけど...今日はデートとか言ってたしなぁぁ...あかん、何を作れば良いか悩む...」
何やら悩んでいるようだが己には関係ないだろうとその光景を眺めていた。すると扉が荒々しく音を立て、開いた。音の主は男を見るなり手招きした。男は少年を少し見たが、少年は瞑想中だったので音を立てずに部屋を後にした。音の主はピンクのスマホを片手にこちらをじっと凝視している。青い髪が綺麗な方だ。しかし何かを疑われてるような感じだが思い当たる節が何もない。
「侏倭様、何用でございましょうか」

【異形団】ブリタルとサザちゃんについて思ったこと

【解釈違いの恐れがあります。ご注意下さい】
はじめはね...僕はサザブリかなぁ?(知能6)と思ってましたね。ぐいぐい来る女の子って感じでブリタルをむしゃる(?)とか遊んだりすると...思ってましたね。ところがどっこい、サザちゃんめちゃくちゃピュアな乙女じゃないすか(失礼)。いや、露出ちゃんデスケドネ。そんな事はブリタルは気にしなーい。むしろ、開放的だなぁと思ってる(?)。サザちゃんのお色気は全く効かないので頑張れサザちゃん!と言いたいがブリタルは隣に居てくれるだけで嬉しい男なので...うん。そういや、青原殿のサザちゃんとブリタルのやつを見て十字に切りました。ありがとうございます(ここで言うな)。はぁぁぁ...サザちゃんは可愛い。一線を越える日は来るのだろうかね()まぁ、気長に待とうな。くわちゃんに「サザンカより鰤さんの方が胸がある。」と言われて「?」となってる鰤を横に「先輩の胸は僕のだヨ!(?)」あ、はい。終わります。ここで言うのもなんですが、ブリタルは(身体的には)童貞ではありません。

最近ね、鯛サザがナイアガラって感じです(?)。普段ぐいぐい来るサザちゃんが鯛の前になるとめちゃくちゃ冷たくなるのが良い(\テーテッテ、テー↑テー↓/)鯛は胡散臭いスマイルマンなので何考えてるかわからないけどサザちゃんが前だとめちゃんこ嬉しそうな雰囲気になる。「サザンカ様ではないですか!御会いできて光栄です」「そう言うの要らないのでお帰りください」ってなってくれないかなぁァァ...。見た目はブリタルだけど中身は全くの違うブリタルなので戸惑ってほしい(願望の塊)。部屋に連れ込んで「貴方を今ここで殺すことも犯すこともできる...なのに何故、貴方は抵抗しないのですか?この体だからですか?諦めた?失望した?何を思って要るのか私には想定できない」「違うブリタル先輩なのは知ってる。わかってるけど...ブリタル先輩なのには変わりないんだ...その顔も声もボクには...」みたいな小説落ちてないかなぉ...。鯛はサザちゃんを持って帰りたいんじゃないかな、離れるのは嫌だ。ってな!!!監禁するなよ!!したらブリタル投げるからな!!

以上です。随時更新予定です(多分)

【異形団】見えるモノ(未完)

散りばめられた星空がよく見える。
自分は、館の屋根の上で空を見ていた。館の方々はバーベキュー?と言うものを庭でしているらしい。自分は、あの円に入る事は苦手だ。団員さんを嫌っているなどでは無い。ただ、『そこに居ること』が苦手なだけなのかもしれないと思っている。自分自身でもよく分かっていない。

「おーい、ブリタルー。迷子のブリタルー!」

団長さんの声が下から聞こえてきた。呼ばれているので自分は屋根から落ちるように降りた。風を切る音が数秒聞こえる。地面に付く前に宙で体を反転させ着地した。

「団長さん....何用です...か?」

「あ、おったおった。お前もはよ来ぃや肉焼けてんで」

そう言って団長さんは串に刺さった肉を見せてくれる。
団長さんは自分の事を気にかけてくれるのだろう。...『何故』とは思わない方が良いのだろうか

「この色見てみ、采のやつがなぁ。『采が焼く!』って言うから任せたら墨みたいになってなぁ...

嗚呼、すまん。『見えん』かったな....」


団長さんの耳が少し垂れた。悲しみを意味してるのだろう。

「大丈夫ですよ...気にしてませんから。」


自分の両目は、いつからか閉じていた。右目は開けられたが、左目はあまり開けられなくなっていた。が、この状況に自分は何も気にしてない。目を閉じていても大体分かるからだ。何も不備はない。

「そうか...。まぁ、肉焼いてるからお前も来ぃ」

「自分は....大丈夫ですので」

言い終える前に透き通った人の

「団長さーん。あら、リタ君食べないの?」

声が聞こえた。自分は、後ろに数歩戻る。

「ティフルか。」

団長さんはその人の顔を見てこちらに視線を移した。

「団長さん、或さんが呼んでたわよ。日本酒がどうのこうのって」

「兄貴...今日はあかん日やて言うたやん....」

団長さんは、早歩きで向かった。


団長さんが戻ったので自分も戻ろう。としたが呼び止められた。振り替えるとその人はこちらを見ていた。

「リタ君、『手』は大丈夫なの?」

表情は見えないが、心配している事はわかった。

「大丈夫ですよ...この通り、問題ないです。」

自分は左手を「作り」人の手に似せた。僕には左手は無い。朝起きたら無くなっていた...と言っても分からないだろう。作って見せた、が目の前の人は納得していないようだった。

「ちょっと、触って良いかしら」

頷くと彼女は、こちらに来て、触れた。感覚は分からないがきっと割れた物を拾うように優しく触っているのだろう。

「何もないのね...」

暖めるかのように手を重ねてくれるが僕にはその暖かさは分からない。

【異形団 宗教】短編

またあの夢。

彼はよく夢に現れる...微笑みながら、手を差し出してくる。手を取ったらどうなるのだろうか...なんて、ぼんやりしていた。視界がうっすらと映えてくる。腕を上に伸ばすと何かに当たった。何だろう...紙と、ペン?両方とも掴んで視界に入れた。

「こんなところに紙なんて置い...た.....か.......な。」

言い終わる前に紙に書いてある字を読んで声が小さくなった。と、同時に私は勢いよく起き上がった。

紙には『早く起きろ』と書かれてあった。

・・・嘘かな、嘘だよね?そうじゃないと....うん。
私、寝坊いたしました...

ベッドから降りようとしたら支えてた手が布団の布に滑りずり落ちた。ドンッ!!とした音がした...体重増えた?前はこんな音しなかった....ハズ。もう少し軽かったような。ちなみに、とっても痛いです...。

「いったた...あ。早く着替えなきゃ!」

急いで寝間着を脱ぐ。...ボタンが多い。普段は気にしてもいなかったけど、急いでいるとなるととても邪魔...。ボタンを外し終わりシスター服を身に纏う。よし、フードもした。

鏡の前で服に不備がないか確認する。くるくると回っていると時計の鐘が鳴った。

「あ、礼拝の時間!」

逃げ出すように自室から出た。走ったら怒られるから早歩きで向かう。







ガチャッ


そーっと扉から覗いた。が、誰一人いなかった。

「あれ?誰もいない...」

礼拝堂の中に入って辺りを見渡したが誰もいない。



「まだお前の頭は寝ぼけているのか」


この声は...。声の方に振り返ると、その人は祭壇を台にして足を組んでいる。いつも着ている青色のロングコートは近くの椅子に掛けてあった。その青色はどこかの国では呉須色と言うらしい。(この前、本を読んでいたら見つけた)

「きょ...教皇様...礼拝のお時間では...?」

「今を何時だと思っている」

「えっと...」

そう言えば起きてから一度も時計を見てなかった。でも、確実に言えることが一つ。起きる時間より遅いということ!...はい、反省シテマス。教皇様が懐から懐中時計を取り出し此方に向けた。ん?あれ?

「12時13...分。」

遅いと言うレベルじゃなかった。顔面蒼白とはこのこと。もうお昼...だね...熟睡し過ぎだろ私!と思いながら落ち込んでいた。私は悲しい...

「一度、お前の部屋に行ったが全く起きなかったな」

「・・・部屋に来られたのですか!?」

どうしよう...全く気付かなかった。...じゃあ、あれは...

「あの置き手紙は教皇様の...ですか?」

枕元に置いてありましたけど、と言ってみた。

「そんなものは知らん」

帽子を深く被り直す教皇様。でもね、教皇様...あの字は貴方の字でしたよ。なんて言ったら照れてすぐ消えるから黙っておこうかな。

「・・・今日は隣街の教会の奴らが来る。」

「珍しいですね...プライドが高いあの教会がこちらに来るなんて。」

「昨日、視察に行ったが...」

教皇様のご機嫌が斜めになった...まぁ、察しはついた...。

「朝から酒に溺れ、信者には金を巻き上げる...仮にも聖職者としてあるまじき姿だ...[これだから人間は嫌いだ]」

吐き捨てるように言う...段々と不機嫌になっていく...。教皇様は物に当たったりする人ではないが...


パキッ


教会の窓ガラスに亀裂が入った。この通り、無意識に物を壊してしまう...。後で直してくれるので問題はないが、威圧感で潰されそうになる...。うーん、どうしよう。ガタガタと物が震え始めた...どうしよう(二回目)

「あ、厨房にクッキーがありますよ。『パパ』」

ピタリと止まった。わざとでは無かったけど、結果オーライ。・・・昔の癖が出てしまった...自分で言っておいてちょっと恥ずかしくなってきた。タスケテ。教皇様は帽子で顔が見えないけど機嫌は治してくれたかな。暫く沈黙が続いた。

「珈琲を用意しろ、お前の作る菓子は甘いからな。」

気のせいかもそれないけど、微笑んでくれたのかな?それがとても嬉しかった。

「分かりました。用意ができましたらキッチンに置いておきますね」

「何を言っている、お前が入れろ。私は書類を整理せねばならん...それにお前、以外がやった珈琲は飲まない。なんだその顔は、鳩が猟銃に撃たれた顔をしてるな」

「パパ、それ死んでる...ゲフンゲフン。と、取り敢えず私は珈琲の準備をしてきますね。では失礼します。」

逃げるように私は礼拝堂から出た。1発喰らわせたかと思えば喰らわされた気がする...あー!なんか...悔しい。
・・・一緒にお茶を飲むのは何年ぶりかな。昔も忙しかったけど今はもっと忙しいからなんだか嬉しい。よし、褒められるくらいに美味しい珈琲でも煎れますか!

【星野光の術師達】他愛のない話

夢をみていたんだ

その夢はあの子達(家族)が幼い、子供だった時。皆で少し遠出をして学長に怒られた。帰り際の空が鮮やかでいつまでも見れる気がしたんだ。帰ったら怒られたけど泣いている子は一人もいなかったかな。何故なら怒っている主(学長)に皆、プレゼントを買ったのだからね。夜には皆で暖を取るかのように寝た。

今思うと、とても早かった。人は成長するのがとても早い...朽ちるのも...ね。もう少しであの子達から僕の記憶は薄れていく。初めからこうするつもりだったから何も思うことはない。あの子達からは、多くのものを学ばさせて貰ったよ。今まで何百、何千年と歩いて来たけどこんなに学べたことはなかった。輝かしい記録だ。

僕は「エテルネル・レーヴ」として大体17年生きてきた。初めは『人間』としてい生きるのが嫌だったんだ。今まで『人間』は排除する生命体それか『あの方』の実験材料と言う認識。生きている意味が全く分からなかった。

ここの学長が青年だった頃に僕は呼び出された。初めは凄く不機嫌だったよ。まぁ、色々あってその青年の話を聞くことにしたんだ。青年の話は興味深いものばかりだった。僕も旅の休憩かと思えば余興にはなると思い承諾した。


僕の『ここの世界での昔話』はここまで。

【星野光の術師達】だから僕は

刺さるように日光が肌に当たる。作業服を着ているとはいえ暑いものはどうしようもない。それに存外土いじりも悪くない。シャベルを持ち直そうとしたら

「エテ兄ー!!これってここでいいよなぁ!?」

彼の声が割って入り込んできた。元気なことはいいと思う。・・・まぁ。彼の姿は見えないのだけど。
彼を探すとしよう。軍手と手袋を外した。右手を地面につけて

「ベオーバハター(観察者)」

これは相手が何処に何をしているのか、が分かる。彼は...そこか。彼は種の入った袋を持ちながらシャベルに、もたれ掛かっている。

『そうだね。一つ植えたら10センチずらしてね。』

「んー。了解だぜ!」

そう言うと彼は作業に戻った。僕も早く済ましてしまおうかな。

言い忘れていたけど、ここは【第2庭園】。一応学園の管轄に入っている。学長が(条件付きで)使って良いと言ったのでここを使わせてもらっている...育てているのは植物だけではないよ。



空が暮れ始めた。そろそろ彼を呼ぼうと思ったがその必要はなかったらしい。ガサガサと音が近づいて来た。数秒すると花を折らないように優しく掻き分けながらこっちに来る彼の顔が見えた。

「あ、エテ兄。渡された種籾(タネモミ)植えといたぜ!」

身体一面に土がついてるけど...どうやったらそのようになるのか...軽く濡らしたタオルで彼の頭を拭いていく。

「ありがとう。またお願いできるかな?」

「おう!俺も花植えるの楽しいからいつでも呼んでくれよな!」

そう言って彼は笑顔を此方に向けた。僕には眩しすぎる光だと思う。・・・もうこんなにも成長したのか。だから『時』が過ぎるのは恐ろしいんだ...。

「エテ兄、どうしたんだ?」

ぼんやりしていたからか、彼が声をかけてきた。

「何でもないよ。帰ろうか、夕食を食べないとね」

「・・・そうだな。あー。俺も腹減ったな。」

「アルはよく食べるね」

「エテ兄がそれ言う?ま、たくさん食べ--早くエテ兄...---な----!」



視界が一瞬、歪んで見えた。ノイズも聞こえた...気のせいだろうか

「僕みたいに...?どんな感じかな」

「エテ兄は...」



パキッ



彼が色を無くして銅像のように止まった。冷や汗が僕の頬を撫でる。
まさか...いや、そんなはずは...ここ(この時空)まで来れないはずだ...。しかしこんなことをするのは『あの人』しかいない。


「やぁ、ミラージュ。会えて嬉しいですよ」


一番聞きたくない声が後ろから聞こえた。
後ろを振り向くと『あの人』が微笑みながら此方を見ていた。...間合いを取ろう。『あの人』の近くにいると危険だ。

杖を出す前に右腕に痛みが走った。


「・・・っ!!」

痛覚がおかしくなるほど痛い。痛みに耐えかねて左手で抑えようとしたら体が動かないことに気づいた。

右腕に気を取られていると『あの人』が目の前に来ていた。

「そう睨まないで下さい。こうでもしないと貴方は逃げるでしょう?それに...その顔を素敵ですよ。流石、『あの方』の最高作品ですね...。」

悪寒とはこう言うことなのだろう。蛇が全身に巻き付いてる感覚だ。

「僕は...もう...『あの方』の作品では...ない...から...放っておいてく...れ。僕には....居場所が...ある...かはっ....!」

言い終わる前に首を捕まれて、そのままバランスを崩して後ろに倒れる。

僕の首を絞めている主は、先程の微笑みなど比にならないくらいの歪んだ笑みを浮かべていた。

「居場所...?私のコレクションにそんなモノは必要ないですね...実に目障りです。...貴方は私の檻の中に居れば良いのですよ」

そう言って、僕の首を更に絞めていく。

「...私(鳥籠)、以外に居場所があるならば...その原因となるものを壊すしかありませんね」

また冷や汗が流れた。何であの子達(家族)が巻き込まれなくてはならないのだろうか。それだけは阻止しなければ...。運悪く、目の前にはアルがいる。アルだけでも学園に戻そう。学園に入れば少しは安全だ。

「...っ!」

痛みで支配されている右腕から杖を出した。何かしらの術で体は動かなくなっていたが、全ての魔力を腕に回した。鈍く動いたがそれでも良い。

アジール!!(安全地帯)」

アルが陽炎のように消える。此所が『あの人』の空間だろうと関係ない。...あの時、触れて良かったと思う。触れなければこの術は発動出来なかった。

「はははっ。」

感情が入ってない笑い声が聞こえる。『あの人』は、ゆっくりと僕の首から手を離した。首を解放されて息を深く吸い込む。『あの人』は、僕の胸ぐらを掴み顔を引き寄せた。

「『一時的なモノ(家族)』がそんなに恋しいですか...愚かであり素晴らしい。結末は同じだと言うのに...
しかし...貴方から私の方へ来てくれるとは、とても嬉しいことですね。『あの方』も貴方の帰還を喜ばれますよ」

張り付いた微笑みはいつ見ても恐ろしい。何を考えているか分からない。

「・・・。」

これで良い、これで良かった。これが一番の最善策だ。あの子達にはもう何も関係ない。




僕は沈む意識の中で最後に見えたのは眩しい光だった。