【異形団】見えるモノ(未完)

散りばめられた星空がよく見える。
自分は、館の屋根の上で空を見ていた。館の方々はバーベキュー?と言うものを庭でしているらしい。自分は、あの円に入る事は苦手だ。団員さんを嫌っているなどでは無い。ただ、『そこに居ること』が苦手なだけなのかもしれないと思っている。自分自身でもよく分かっていない。

「おーい、ブリタルー。迷子のブリタルー!」

団長さんの声が下から聞こえてきた。呼ばれているので自分は屋根から落ちるように降りた。風を切る音が数秒聞こえる。地面に付く前に宙で体を反転させ着地した。

「団長さん....何用です...か?」

「あ、おったおった。お前もはよ来ぃや肉焼けてんで」

そう言って団長さんは串に刺さった肉を見せてくれる。
団長さんは自分の事を気にかけてくれるのだろう。...『何故』とは思わない方が良いのだろうか

「この色見てみ、采のやつがなぁ。『采が焼く!』って言うから任せたら墨みたいになってなぁ...

嗚呼、すまん。『見えん』かったな....」


団長さんの耳が少し垂れた。悲しみを意味してるのだろう。

「大丈夫ですよ...気にしてませんから。」


自分の両目は、いつからか閉じていた。右目は開けられたが、左目はあまり開けられなくなっていた。が、この状況に自分は何も気にしてない。目を閉じていても大体分かるからだ。何も不備はない。

「そうか...。まぁ、肉焼いてるからお前も来ぃ」

「自分は....大丈夫ですので」

言い終える前に透き通った人の

「団長さーん。あら、リタ君食べないの?」

声が聞こえた。自分は、後ろに数歩戻る。

「ティフルか。」

団長さんはその人の顔を見てこちらに視線を移した。

「団長さん、或さんが呼んでたわよ。日本酒がどうのこうのって」

「兄貴...今日はあかん日やて言うたやん....」

団長さんは、早歩きで向かった。


団長さんが戻ったので自分も戻ろう。としたが呼び止められた。振り替えるとその人はこちらを見ていた。

「リタ君、『手』は大丈夫なの?」

表情は見えないが、心配している事はわかった。

「大丈夫ですよ...この通り、問題ないです。」

自分は左手を「作り」人の手に似せた。僕には左手は無い。朝起きたら無くなっていた...と言っても分からないだろう。作って見せた、が目の前の人は納得していないようだった。

「ちょっと、触って良いかしら」

頷くと彼女は、こちらに来て、触れた。感覚は分からないがきっと割れた物を拾うように優しく触っているのだろう。

「何もないのね...」

暖めるかのように手を重ねてくれるが僕にはその暖かさは分からない。